今年からMLBのルールが大きく改訂!盗塁が増えたって本当?

今年からMLBのルールが大きく改訂!盗塁が増えたって本当?

2023年シーズンからアメリカ・MLBで非常に大きなルール改定がありました。このルール改定はファン目線でのことだそうですが、なぜ変更することになったのでしょうか。

今回はMLBのルール改定の内容と、その背景を徹底調査し、その結果何が変わったのかについてもまとめていきます!

ルール改定は「ファンのため」!?

2023年シーズンからMLBで導入されたルールは

  1. ピッチクロックの導入
  2. シフト守備の制限
  3. ベースサイズの拡大

の3項目です。

この変更についてMLBのコンサルタントとして新ルール導入を指揮したセオ・エプスタイン氏は、「新ルールは選手に関することであるが、ファンのためのものだ。ファンは今回の新ルールを歓迎してくれるだろう」と話しており、新ルール導入は選手目線ではなく、ファン目線で考案されたものだそうです。

ファンが求める野球の魅力とは?

MLBは新ルール導入以前からファン対象に野球の魅力度についてのアンケートを行った結果、ファンが野球に魅力を感じているのは

  • 盗塁を狙う瞬間
  • 三塁打、二塁打
  • ファインプレー

といった【躍動的な場面】だったそうです。

一方でつまらないと感じているのは

  • (選手やコーチが)マウンドに集まるシーン
  • 四球
  • 投手交代
  • 牽制球

といった【試合時間が長引く要因となるプレー】だったようです。そうした調査結果を元に、より野球の魅力を引き出すために新ルールが講じられたそうです。

ルール改定の内容とその結果

では、今回改定された3つのルールで何がどう変わったのかまとめておきます。

ピッチクロック

『ピッチクロック』とは投手が打者に投球するまでに使える時間を制限する仕組みで、ピッチャーはボールを受け取ってから【ランナー無しの場合は15秒以内】、【ランナーありの場合は20秒以内】に投球動作に入らなければ1ボールが宣告されます。

ちなみに、2022年、大谷翔平選手の投球までの時間はランナー無し:約21.7秒、ランナー有り:約26.9秒とかなりテンポを上げて投げないといけなくなりました。

またピッチクロックはピッチャーだけでなくバッターにも適用されます。バッターには投球制限時間が残り8秒となる前に構えなければ、1ストライクが宣告されます。

さらに1打席の間にけん制などで、ピッチャーがプレートを外す回数も制限され、3回目のけん制でランナーをアウトに出来なければ、ボークが宣告されてランナーが進塁するようになりました。

試合時間の短縮だけでなく盗塁の数も増加

MLBの発表によれば、ピッチクロックを導入したマイナーリーグでは試合結果にほぼ変化を生じさせず、試合時間だけ26分の時間短縮に成功しています。

さらにピッチクロックに合わせ牽制球の回数を制限することで、走者が盗塁を狙う数、その成功率ともに上昇させています。ピッチクロック導入前の2019年シーズンは1試合当たりの盗塁企画数が2.23、成功率が68%だったのに対し、導入した2022年シーズンになると盗塁企画数2.83、成功率も77%に上昇しているそうです。MLBでもシーズン初週の盗塁企画数、成功数は2022年シーズンと比較すると増加しているようです。

2022年 1試合平均盗塁企図数 1.02(89チャレンジ/87試合) 成功率 68.5%

2023年 1試合平均盗塁企図数 1.69(154チャレンジ/91試合)成功率 80.5%

日本でもピッチクロックの導入が検討されていますが、そうなった場合、周東佑京 50mでも話題となった周東選手をはじめとする脚力自慢たちがどんどん盗塁を仕掛け、試合の盛り上がりも大きくなっていくでしょう。

極端な内野手の守備シフトが禁止に

MLBでは様々なデータから、極端な守備シフト(セカンドがライト前へと極端に下がり、ショートがセカンドの守備位置あたりを守り、サードがショートの守備位置付近を守る、など)を敷くことが多々ありました。しかし2023年からセカンドベースの両側に少なくとも、2人の選手を配置しなければならなくなり、前年までの極端すぎるほどのシフトは敷くことが禁じられました。

もし、この守備シフトに違反した場合は、攻撃側は「1ボール加算する」もしくは、「プレーの結果を優先する」の2つから選択することができるようになりました。

ファインプレーの増加が期待

このルール変更で内野手は投球前まで基本的に定位置に立つことが義務づけられるようになったため、打球処理のためこれまで以上に高い身体能力と打球予測が必要となり躍動的なプレーを求められるようになりました。その結果ファインプレーも増加することが期待されています。

ベースも大きくなる

上記2つのルール改定により、選手たちの動きは大きくなり、クロスプレーなどによる怪我のリスクも高まります。そこでベースの大きさも15イン(約38センチ)チ四方から18インチ(約46センチ)四方へと、3インチ大きくなりました。

MLBが発表した資料によれば、ベースサイズを拡大したことで先行導入したマイナーリーグではベース周辺でのケガ発生数を13%軽減することに成功しているようです。

さらにベースが大きくなることでベース到達時間が早くなるので、内野安打や盗塁の増加も考えられます。

最後に

今回はMLBのルール改定についてまとめてきました。ファンにとって何が最大のエンタメとなるのか、それがひいては離れていったファンを引き戻すことになるのか考えられた結果の取り組みであり、実際に開幕から1ヶ月間は前年よりも5%来場者数が増えたそうです。

日本で導入するにはピッチコムなど様々なハードルはありそうですが、きっかけとしてぜひ検討してもらいたいですよね!